第9話「善玉と悪玉」
衝撃の展開!の回
第9話 あらすじ
ざっくりとしたあらすじです。
ネタバレも含みます。
お互いに連絡を取らなくなってしまった岸本拓朗(眞栄田郷敦)と浅川恵那(長澤まさみ)。拓朗は、刑事の平川を脅迫した疑いで大洋テレビを解雇された。浅川恵那(長澤まさみ)は、八飛の事件に関して強力な力が働いていることを感じ、再び心身のバランスを崩す。
村井(岡部たかし)は、拓朗にジャーナリストを名乗らせ、大門副総理(山路和弘)の娘婿で秘書の大門亨と引き合わせる。村井によると、亨は真面目で正義感が強く、政治家の秘書に向いているとはいえないタイプ。かつて、亨は村井の力を借りて大門を告発しようとしたが、最終的に告発を断念したことがあった。村井も今の岸本と同じように、あと一歩のところで、掴んだ真実を握りつぶされたことがあったと知り、驚く。そして、拓朗は、大門を排除して本城を逮捕するために、亨は自身の罪を償う覚悟で、改めて告発をしようと動く。しかし、その矢先、亨の身に不幸が起こる。
第9話のコトバ
私は善玉なんだろうか悪玉なんだろうか。
岸本拓朗が解雇されたことを知った恵那の言葉。
備品のボールペンが1本消えた障りもなく、会社は今日も回り続ける。
善玉も悪玉も一緒くたに、ただ絶え間なく循環させながら摂取と排泄を繰り返す。
まるで私たちの体みたいに。
岸本拓朗をはじき出し、何事もなかったかのように今日も活動し続ける会社の、
その体内に残った私は、善玉なんだろうか悪玉なんだろうか。
正しいと思うことができない自分は、悪玉の方だって思うのかな…
死ぬまで奴隷なんだよ。それの。
無職になった拓朗は、週刊誌の記者にならないかとスカウトする編集長の言葉。
重要なのはそもそも最初から本人の中にあるべきものがあるかどうかだ。
君にはそれがある。
まだそれしかないとも言えるけど、要は今回君はそれに振り回されたあげくニートにまで成り果てたわけだけど、たぶん一生それを捨てることもできない。
死ぬまで奴隷なんだよ。それの。
“それ”とは、ジャーナリスト的な正義感みたいなものかな?
性分みたいなものかな。
権力ってのは瞬殺しかないんだ。
いかに一撃で倒すかだ。
もたもたしてたら反撃ぶっくらう。
覚えておこう。
悪いけど俺は、野心と欲望のバブル世代だからよ。
拓朗への村井の言葉。
悪いけど俺は、野心と欲望のバブル世代だからよ。
お前らが振りかざすようなペラペラした偽善とか薄ら寒いと思ってるわけ。
世直しのために汚職政治家を倒したいとか1mmもないわけ。
こんな一生に一度あるかないかのデカいスクープ取れたのがうれしくてしょうがねえし、誰にも渡したくねえしよ。
渡すぐらいなら俺が墓場まで持ってくっつんだよ。それが人間てもんだろ?
照れ隠しなのか、本心なのか。。
自分の罪深さを忘れて生きていくなんて僕にはできない。
再び、大門の告発に踏み切った亨の言葉。
残念ながらこれはもう僕の性分で。
(中略)
自分の罪深さを忘れて生きていくなんて僕にはできない。どうしても。
背負い続けていくしかないんです。
私の病気は私の希望なのかもしれない。
第1話の時のように、恵那の様子がおかしい。
体がまた壊れつつある。
でも、そのことを私はどこかで喜んでいる気がする。
善玉も悪玉も本当は無いように、私の病気は私の希望なのかもしれない。
いっそ木っ端みじんに壊れてしまえばいいと、本当は私自身が願っているのかもしれない。
かなりの危険信号…
第9話 メモ
本当は善玉菌も悪玉菌もないらしい?
会社を人間の身体に例えて、自分は善玉なのか悪玉なのか?と考えていた恵那は、美容院に居合わせた客の話を聞いてしまう。
いわく、善玉菌と悪玉菌という菌が存在するのではなく、大事なことは、菌の種類がたくさんあってバランスが取れていることなのだと。
種類が少なかったり、どちらかが多くなると悪玉になってしまうという。
興味深い話だ。
組織も世の中も、色んな人がいていいし、
いるべきだってことだね。
恵那は、斎藤のことを信じている。
斎藤が大門を選び、恵那と別れて半年以上が経つが、恵那は斎藤の活動を追ってしまう。
たぶん私はまだどこかで信じていて確かめたいのだと思う。
彼は決して彼自身の野心のために報道を捨て政界に行こうとしているわけではないのだと。
実は彼にはひそかな理想があって、たとえばそれは本当に公正で自由な社会だったりして。
その実現のために1人孤独に闘っているのだと。
そう想像すると少しだけ元気になる。
我ながらなんてばかなんだろう。
大事なことは言葉にしない斎藤だったからこそ、
別れても色々考えちゃうのかなあ…
感想:衝撃の展開に、言葉を失った…
次が最終回になる第9話。ここまで希望が見えない話は初めてでした。
敵の力が強すぎて、なすすべがない。
もう真犯人は誰か分かっているし、証拠もあるのに、逮捕もされないし報道もできないし、挙句の果てにこんなことに‼
恵那が心身のバランスを崩し、第1回のような危うい感じになってきました。
拓朗は第1回のボンクラぼっちゃんな雰囲気ではなくなったけど、ずっと心にカイ君の存在を抱えているところは同じ。『エルピス』は、拓朗がカイ君の自殺と向き合う物語でもあったようです。
希望が見えないけど次が最終回。
このまま権力に負け続けるなんて嫌だー。
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