第2話「女子アナと死刑囚」
女子アナと死刑囚の話
第2話 あらすじ
ざっくりとしたあらすじです。
ネタバレも含みます。
「真犯人は野放しになっている」と岸本拓朗(眞栄田郷敦)が言ったように、再び八頭尾山の山中で女子中学生の遺体が発見された。
当時犯人として逮捕・起訴された、松本良夫死刑囚(片岡正二郎)の冤罪を訴えていた拓朗の言葉に、わずかな可能性を見た浅川恵那(長澤まさみ)は、番組で過去の事件を調査報道したいと考える。しかし、プロデューサーの村井(岡部たかし)に取り合ってもらえるはずもなく、恵那は一人で事件の調査を始める。当時14歳で、逮捕当日に松本の家で保護されたヘアメイクのチェリーこと大山さくら(三浦透子)が書きためた裁判記録をもとに、松本が殺人を犯したとされる日の足取りを確認し、検察側の主張に無理があることに気づく。
事の重大さに気づき、一度は手を引いた拓朗は、「覚悟は無いが手伝いたい」と言って恵那を手伝うことにする。松本氏の担当弁護士の木村卓(六角精児)を通して面会を申し込んでいた松本死刑囚本人から、恵那宛てに手紙が届く。手紙には、規則により面会はできないが、自分は犯人ではない旨が切実に綴られていた。
2006年当時、事件の報道に関わっていた斉藤正一(鈴木亮平)は、事件発生直後に有力視されていた目撃証言があったことを教える。それは、若いロン毛の男と山の中へ歩いて行ったというものだった。恵那は、この男が真犯人だと証明することで、松本氏の冤罪を晴らせるのではないかと考え始める。
その矢先、死刑囚3人の死刑が執行されたというニュース速報が流れる。
第2話のコトバ
「浅川恵那が何に注目しているのか」を決めるのは、浅川恵那じゃねえの
恵那のコーナーである『エナーズアイ』。
「今週、浅川恵那が注目しているニュースはこちら…」と紹介するコーナーだが、そのニュースは恵那に決めさせてもらえない。
「浅川恵那が何に注目しているのか」を決めるのは浅川恵那じゃねえの。
浅川恵那は、“俺らが浅川恵那が注目してることにしたいニュースを、あたかもほんとに注目してるみたいに読むため”の人なの。
それがいやならさっさとやめちまえ。女子アナなんか。
なんと理不尽な…
流さず、飲みこまずに「嫌ですけど やめません」と言い返せるようになった恵那。
「おお 更年期かと思ったら反抗期だよ」。
「反抗期はともかく、更年期はセクハラなんでやめてください」。
「はい さーせん。こんどから 陰で言います」。
そして、笑う男性陣。。
ひどいなあ…
私はそれを”安定”だなんて呼ぶのは嫌だ。
安定しているというより、落ち切ったまま浮上していないというだけでは。
そもそも『フライデーボンボン』は、局内、最底辺の番組で、
不倫で飛ばされた元スポーツ局のディレクター、報道で邪魔者扱いされたプロデューサー、スキャンダルで降板した女子アナ、学歴だけで入社したボンクラ新人…
落ちこぼれ者たちの受け皿。
それが『フライデーボンボン』。
才能無くても、頑張らなくても、生きていける場所 。
だけど、私はそれを”安定”だなんて呼ぶのは嫌だ。
それを”安定”だと言い聞かせてる人は多いと思う。
大きな権力というのは、それはそれは簡単に、自分たちの都合で弱いもんを踏み潰すもんですよ
松本氏の裁判を担当した弁護士の言葉。
松本氏の自供は、マスコミのインチキ報道にあおられた警察によって強要されたものだと思っている。
大きな権力というのは、それはそれは簡単に、自分たちの都合で弱いもんを踏み潰すもんですよ。
あっちでプチプチ、 こっちでプチプチ、とね。
決まって選ばれるのは、つぶしたときにあまり大きな音を出しそうにない者たちです。
社会的な力を持たず、家族もなく、叫んだとしても声が小さい。
要するに、松本氏のような人物が実に好都合なわけですな。
怖いし、ひどい。
自分がどれだけ狂ってたか、やっとわかりました。
事件の目撃証言のことを教えてくれた斉藤を部屋に招いた恵那。
週刊誌に路上キス写真を撮られた時の対応を詫びる元カレ・斉藤への言葉。
私は、あのソファのことが嫌になって捨てたわけじゃないんです。
私が嫌になったのは、ソファでもあなたでもなくて自分なんです。
私、世間からあの写真のせいでだめになったと思われてるみたいなんですけど、違うんです。
私はあのずっと前からもうだめになってたんです。
だめになってたからあんな写真を撮られたし、番組を下ろされた。
そして、そういう自分をあなたに押し付けようとしたんです。
報道部のエースだし、将来性あるし、ちょっとくらい女癖が悪くても、私を本気で愛してくれてるわけじゃなくても、プロポーズしてもらって結婚を機に退社ってことにできれば勝ちだって、本気で思ってた。
それで最大限 幸せを追求してるつもりだった。
何もかも捨ててから、自分がどれだけ狂ってたかやっとわかりました。
“だめになった自分”、”押し付け”、”勝ち”…。
それを「狂ってる」って表現するドラマ、すごい。
第2話 メモ
拓朗と一緒だとカレーが食べられる恵那
松本氏が事件当日に10分で作ったとされるカレーを再現した恵那。
第1話で食べるたびに嘔吐していたが、拓朗とカレーを食べたら、嘔吐しないで食べられることに気づく。
君ってさ、いいこと言えば言うほど嘘っぽいよね。
口先だけでしか声出してないでしょ。
人が嘘ついてる時の声と、本当のことを言ってるときの声は変わるんだよ。
だから、私たちはまず発声の練習をするの。
(中略)
君はそんな小手先のテクなんかマスターしなくていいんだよ。
普通に正しく生きてればいいの。
いい人間になれば、勝手にいい声になるんだよ。
アナウンサーは、嘘を本当のことのように言うために、発声の練習をするということ?
恵那は、自分はバチが当たっていると思っている。
『ニュース8』でサブキャスターを務めた6年間を振り返る恵那。
自分があたかも真実のように伝えたことの中に、本当の真実がどれほどあったのかと思うと、苦しくて苦しくて息が詰まりそうになります。
私には今 罰が当たっているんだと思います。
事件の目撃証言が無かったことにされていた。
松本氏が犯人とされた八頭尾山連続殺人事件では、発声当初、若いロン毛の男を目撃したという証言が出ていて、警察もある段階まではその男を追っていたことが判明。
しかし、途中から、マスコミも松本氏の仕業だと騒ぎたてるようになったという。
母からお気楽に生きることを望まれている拓朗
第1話から出ている拓朗のママがすごい。年収1億の弁護士ママの一人息子への望み。
あんたはとにかくお気楽に生きてよ。
そりゃあパパはさ すごい弁護士やったからさ。
大してやり手でもないくせに、誰も引き受けないような難しい裁判ばっかり引き受けて。
死に物狂いで戦ってた。
あんな立派じゃなくてよかったから、死なんといてほしかった。
お金だってもっといっぱい稼いでほしかった。
拓ちゃんにはパパみたいには絶対ならんと、気楽にお金を稼いで生きていってほしいの。
明王かて、そのために入学させたんやからね。
今のところ、拓朗はママの望みを叶えているように見える。
感想:必見!「普通に正しく生きる」って…
第2話は恵那の一人語りが多くて、見ごたえがありました。
ドラマの話とはいえ、女子アナの言葉にこんなに共感したのは初めてです。
女子アナの人たちって‥、苦労話さえ自慢話に聞こえるというか浮世離れしていて「私たちもただの会社員なんですよ」なんて記事を目にするたびに「嘘つけ」と思ってました。笑
あなたたちのような高みにいる人達に、”ただの会社員”の生活なんてわかるわけないでしょ。と。
冒頭でパワハラプロデューサーから「男が選んだニュースを、あたかも自分が選んだかのように読む人」みたいに言われたり、弁護士から「マスコミ報道の無責任さは許しがたい」と言われたり。
恵那自身は「世界がどんなに混乱していても、正しい真実を伝えてくれると信頼されるキャスターになりたかった」が、「そんな夢は一生叶えられない」と思い知った様子。
そして、原発事故について、カメラ目線で「問題ありません」と言う専門家や、東京オリンピック開催は震災復興への弾みになると満面の笑みで伝える恵那の姿が流れ、結果的には、それらはすべて正しくなかったことがわかります。
アナウンサーの発声をすごいと言って真似しようとする拓朗に「君はそんな小手先のテクなんかマスターしなくていいんだよ。普通に正しく生きてればいいの。いい人間になれば、勝手にいい声になるんだよ」と言う恵那。
ある日突然、殺人犯に仕立て上げられた松本氏も普通に正しく生きていただけだし、恵那自身も普通に正しく生きたいと願っているが、自分がやってきたことを振り返ると、正しいとはとても言えないという感じだろうか。
これは老若男女関係なく、誰でも抱えている苦悩なのかも。
正しく生きるということは、難しいことなのだ。
女子アナの人が言う「私たちもただの会社員なんですよ」も、あながち嘘ではないのかもしれない。
そりゃ、お給料は雲泥の差でしょうけども…。なーんて思った第2話でした。
エルピス、深いです!!
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