『エルピス-希望、あるいは災い-』 第1話 まとめ&感想

エルピス第一話

第1話「冤罪とバラエティ」

テレビ局のセクハラ、モラハラ、パワハラ…

第1話 あらすじ

ざっくりとしたあらすじです。
ネタバレも含みます。

大洋テレビのアナウンサー・浅川恵那(長澤まさみ)は、かつてゴールデンタイムのニュース番組でサブキャスターを務め、人気、実力ともに兼ね備えた女子アナだったが、週刊誌に路上キスを撮られて番組を降板。2018年現在は、バラエティ番組『フライデーボンボン』のコーナーMCを担当している。ある日、恵那は『フライデーボンボン』の若手ディレクター・岸本拓朗(眞栄田郷敦)から相談を受けた。2006年に起きた八頭尾山連続殺人事件で服役中の松本良夫(片岡正二郎)死刑囚は冤罪だと言う。拓郎は、大山さくら(三浦透子)に弱みを握られていた。さくらは、家出した時に松本良夫宅でかくまってもらい、自分がいたことで松本に容疑がかかり、そのまま逮捕されてしまったと考えていた。松本は絶対に犯人ではないと言う。恵那と拓朗は、恵那の元カレで官邸キャップの斉藤正一(鈴木亮平)のアドバイスのもと、『フライデーボンボン』で連続殺人事件と冤罪疑惑の調査報道を行う企画を立てるが、プロデューサー・村井喬一(岡部たかし)にボロクソに言われ拒絶される。しかし、恵那は「おかしいことはおかしい」と真相を究明することを決意する。そして、八頭尾山で女子中学生の遺体が発見されたというニュースが流れる。

第1話のコトバ

善人とて戦うべき時が来る

ドラマ冒頭、拓朗に対する桂木信太郎(松尾スズキ)の言葉。

君は自分を善人だと思っているんだろう争いを好まず安寧を旨とする要するに取るに足らない凡人であると物事を動かす力などあるわけもないしかし君 それは逃げだ善人とて戦うべき時が来る

これは何かの暗示なのかな?

色んな怖い生き物が、目に見えない縄張り張ってたりするんだよ

パワハラプロデューサー・村井の言葉。

世間ってのは自然界なの。ジャングルには虎がいるし 海にはサメがいて川にはピラニアとかアナコンダとかいるよね。同じように僕らが生きてるこの世間にも色んな怖い生き物が、目に見えない縄張り張ってたりするんだよ。どこに何がいるかもわかってないようなガキが、ブンブン棒振り回したりしたら大変な目に遭うってこと。冤罪を暴くってことは国家権力を敵に回すってこと。わかる?

ムカつくけど分かりやすい…。

おかしいものはおかしいじゃん

村井のジャングルの話を受けて、冤罪の調査報道はやめると言い出した拓朗へ恵那の言葉。

だってここジャングルでもアマゾンでもないじゃん。惑わされちゃダメだよ。おかしいものはおかしいじゃん。アナコンダでも国家権力でも関係ない。おかしいと思うものを飲み込んじゃだめなんだよ。

私はもう飲み込めない。これ以上。飲み込みたくないものは飲み込まない。

恵那は、おかしいと思うものを飲みこみ続けた結果、嘔吐が止まらなくなったってことかな。

第1話 メモ

エルピスとは?

古代ギリシャ語で様々な災厄が飛び出したと伝えられる「パンドラの箱」に残されたものとされ【希望】とも【災厄】とも訳される

パンドラの箱って、開けてはいけないやつだよね…

「もう死ぬし」ってどういうこと?

何もない部屋に、水とゼリー飲料しか入っていない冷蔵庫。眠れず、ゼリーを飲んでも吐いてしまう。なのに、ランニングをしながら出社する恵那。眠ることも食べることもうまくできなくなっているという。第1話ではほとんど嘔吐している。最後に「飲み込みたくないものは飲み込まない」と決意する姿はかっこよかったけど、「でないと、もう死ぬし、私」とはどういう意味なのでしょう?

明らかに病気…

拓朗はただのボンクラなエリートではない?

成城の一戸建てで、年収1億円の弁護士のママと暮らす裕福な一人息子の拓朗。「僕は自分をエリートだと思っている」「僕の自己評価は高止まりしたまま時に下がる必要もなかった」と言い切っていたが、最後、さくらの手のひらの傷を見た拓朗は泣き出した。

僕は、僕が過去に見たもう一つの手のひらのことを思い出した。完璧な僕の、完璧な人生のそのすべてが偽物だと僕に告げるあの手のひら。僕は善人じゃない。

血まみれの手のひらが怖い…。

誰の手のひらなんだろう?

プロデューサー・村井のパワハラがひどい。

見てるだけでこちらが病みそうなぐらいセクハラ・パワハラ・モラハラがひどいです。恵那に向かって「かつて人気ナンバーワン女子アナだったのが世代交代で隅っこに追いやられりゃそりゃ飲み会もつまんなかろうよ。でも そうやってすねててもババアに未来はないよ。いじけたババアほど嫌われるものはないよ」とか言いやがる。でも、26年いた報道を追い出されて半年…だそうなので、村井にも事情がありそう。「みんな俺が飛ばされたって思ってるけど 俺が報道を見限ったの。ジャーナリズムとは何か? 記者と何か?誰も考えてないの」という言葉は本心なのかも斉藤が「あのたぬきおやじ」って言った表情が何とも言えず、気になる。

ムカつくけどカラオケが異常にうまい。

フライデーボンボンの安っぽさ

村井が「なくてもいいけど、あると嬉しい」「見ごたえなんかいらねえんだよ」という番組『フライデーボンボン』の明るさと安っぽさが、恵那の暗い表情や冤罪事件の深刻さとミスマッチで面白い。「エナーズアイ」とポーズを決める恵那の”いかにも女子アナ”感と普段の表情とのギャップがリアルです。

感想:第1話から面白い!

エルピス第1話…、セクハラ・パワハラ・モラハラのオンパレードに(もしかしたら、これからずっと?)これは女性だから作れるドラマだと思いました。女性のプロデューサーと脚本家が魂込めて作ってる骨太サスペンスドラマという感じがします。心を病みながら戦う長澤まさみの姿に、吐き気がするほど共感しました。

そして、太り過ぎず痩せ過ぎず、聖人君子でも大悪党でもない普通にエリートな鈴木亮平が新鮮で、めちゃくちゃカッコイイ。。イケすぎてていけ好かない感じになってる官邸キャップ役が上手いです。普通に説明してるだけなのに、上から目線でオーバーアクション。なんか鼻につくけど、いい人に思えちゃう。眞栄田郷敦くんは、いろんな表情ができて面白い。ぼんくらを絵に描いたような郷敦、ママに甘えん坊な郷敦、必死に土下座する郷敦、報道でハエのように追い払われる郷敦、鈴木亮平の「いいよ」を再現する郷敦…。まさみが引く目力に笑っちゃいました。

「セクハラ上司を笑顔でかわし sickness 世界のニュースより流行りのジュエリー」とはSMAPの1995年の歌『KANSHAして』の歌詞ですが、恵那もセクハラ上司を笑顔でかわしていた時代があったのでしょうか。「お前なんて若くもかわいくもねえんだからな」「ババアはババアらしく」と言われまくる恵那は、諦めの境地といった感じ。眠ることも食べることもできないほど心を病んでいる。無表情で目が死んでる恵那から、「もう飲み込まない」と宣言した恵那の目には生気が宿っていて、震えました。それにしても…、テレビがこんなテレビ作っちゃっていいの?!と色んな意味でスリリングなドラマです。そこがまた贅沢~!エルピス、面白い。

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