『silent』第6話「音のない世界は悲しい世界じゃない」
想と奈々の話
第6話 あらすじ
ネタバレも含みます。
回想シーンから始まる。佐倉想(目黒蓮)の大学時代。部活を辞め、補聴器を使い始めた頃。
自転車に乗っていて警官に呼び止められて、とぼとぼと歩く想。
ある日、ろう者・難聴者対象就活支援セミナー会場で桃野奈々(夏帆)と出会う。授業を受けるうえでの悩みなどを聞いてもらい、「音がなくなることは悲しいことかもしれないけど、音の無い世界は悲しい世界じゃない」と言われ、涙を流す。
現代。8年ぶりに再会した青羽紬(川口春奈)とお好み焼きを食べる。そこに、奈々から想に電話が入る。間違い電話を装う奈々。想は、奈々のことを高校を出てからできた唯一の友達だと話す。
想は戸川湊斗(鈴鹿央士)と焼肉に行く。湊斗にも奈々は友達だと話す。
想の実家で、母・律子(篠原涼子)が想のCDを捨てようとする。「聴くために取っといたんじゃない」と兄の気持ちを慮った妹・萌(桜田ひより)が自室に引き取る。そして、バリバリに割られたCDケースに涙する。
紬と会うようになった想は、奈々と向き合うことにするが「誰も分かり合えないね」と言って物別れに終わってしまう。
奈々の夢のシーンに変わる。青いハンドバッグからスマホを取り出し、耳にあてる。想に電話をかけ、声で話している。どこにでもいるカップルに見え、手をつないで歩いている。
朝、腕時計の振動で目を覚ます奈々。夢から覚めてしまった。
そして、スマホで手話教室・手話ふぁみりぃを調べる。
手話教室へ出向き、話がしたいと紬を誘う。そして、想から手話を教わっているという紬に「プレゼントを使いまわされた気分」だと話し、出て行ってしまう。
泣きながら奈々が歩いていると、近くにいた想が自分に気づかせるために電話をかける。奈々は、想を見つめながら、振動する電話を耳にあてる。
第6話のコトバ
静かに話だけ聞いてほしかった
大学時代の想が切ない。暗い顔をして「すいません」ばかり繰り返す。
奈々に話しかけられて、思いの丈を打ち明ける。
別に悪いことしてないのに何度も「すいません」「すいません」って謝って
謝るの癖になって、本当に自分が悪いような そういう気持ちになります。
違うのに。ただ誰かに聞いてほしかった。
静かに話だけ聞いてほしかったんです。
ただ不安だってこと。言葉にできないのが苦しかっただけで。
音の無い世界は悲しい世界じゃない。
誰かに話を聞いてほしかったと話す想に、筆談で寄り添ってくれた奈々。
私は生まれつき耳が聞こえない
でも 幸せ
音がなくなることは悲しいことかもしれないけど
音の無い世界は悲しい世界じゃない
私は生まれてからずっと悲しいわけじゃない
悲しいこともあったけど嬉しこともいっぱいある
それは聴者もろう者も同じ
あなたも同じ
「同じ」が、優しい…
でも、近づいてしまった今は もう 離れたくないと思ってしまう。
紬が美味しそうに食べる姿を目の前にして、「もう離れたくない」という想(のナレーション)。
同じだと言ってくれてあんなに安心したのに
都合よく 自分は違うと線を引いた。
聞こえる自分が忘れられなかった。
聞こえる人とも聞こえない人とも距離を取った。
近づくのが怖かった。
でも近づいてしまった今はもう離れたくないと思ってしまう。
それでいいんだよ、想~~
好きな言葉をくれますね。
手話教室で春尾先生から、想のことを「どんな人ですか?」と問われた紬の回答。
これは…目黒蓮そのものですね。
めめはいつも、ファンに期待以上の言葉をくれるよね!
さすがアテ書き!
あの子に、聞こえない想くんの気持ちはわかんないよ
奈々 よくそういうこと言うよね
自分はろう者だから聴者とは分かり合えないって
恋愛もうまくいかなかったって
だったら、俺とだってわかりあえないよ
聴者でもろう者でもない
そうだね
私も想くんもあの子も誰も分かり合えないね
プレゼント使い回された気持ち
想の気持ちが自分には無いことを悟った奈々は、紬を呼び出してカフェで向かい合う。
想から手話を教わっていることを確認し、言い放つ。
プレゼント使い回された気持ち
好きな人にあげたプレゼント 包み直して他人に渡された感じ
想くんどんな声してる?
聞いたことあるでしょ?どんな声してるの?
電話したことある?
いいね 羨ましい
たまに夢に見る
好きな人と電話したり 手をつないで声で話すの
憧れるけど恋が実ってもその夢はかなわない
恋も叶いそうにないんだけどね
奈々にだけ伝わればいいから
想が手話を覚えたての頃の回想シーン。
図書館でおしゃべりする子どもが注意されているが、自分たちはしゃべっていても怒られないと笑い合う。
最近、筆談がいらなくなったとして、それが目標だったと話す想。
「奈々と手話だけで話せるようになるのを目標にして手話覚えた」。
照れ隠しなのか「まだ全然下手だけどね」と返す奈々に、「奈々にだけ伝わればいいから」とほほ笑む想。
嬉しそうな奈々にかぶせるヒゲダンが切ない…
第6話 メモ
想は奈々から、静かに生きていけることを教わった。
就活セミナーで出会った想と奈々。
生まれつき耳が聞こえない奈々は、耳が聞こえなくなっていく不安でいっぱいだった想に寄り添ってくれ、想にとって「2人で会う唯一の友達」になった。
どんな人?という残酷な質問
どんな人?って聞かれたとき、好きな人のことだとその人の好きなところ言っちゃうんだって。嫌いな人だと嫌いなところ。
どちらでもない知り合いとかだと普通に関係性とかプロフィールとか説明しちゃうんだって。
想にとって紬は「まっすぐ見てくる感じ。性格も」で、
奈々は「生まれつき耳が聞こえない人。大学の時出会って、手話教えてもらった」。
紬にとって想は「好きな言葉をくれますね」。
でも、紬から奈々はどんな人が聞かれた想は、
「すごく大事な人。だからちゃんと向き合おうと思ってる」と答える。
奈々の夢を象徴する青いハンドバッグ
いつもリュックサックを背負って両手をあけている奈々。
夢の中で、耳が聞こえる奈々は、ウインドーの中にあった青いハンドバッグを持っている。
ハンドバッグからスマホを出して、想と電話をしたり、反対の手に持ち替えて手をつないで、歩きながらおしゃべりしたり。
ウインドーの中にある青いハンドバッグが「恋が実ってもその夢はかなわない」と話す奈々の夢を象徴しているようです。
感想:圧巻!奈々ちゃんに圧倒される…
夏帆ちゃん演じる奈々と想のこれまでのことが明かされた第6話。
めめの表情もすごくいいんだけど、最後は奈々ちゃんが泣ける~~
「音の無い世界は悲しい世界じゃない」けど「 好きな人と手をつないで声で話したい」という奈々の、素直で切実な思いに胸を打たれました。
奈々ちゃん、かわいそうって思いたくないんだけど、かわいそうだと思ってしまう瞬間があり、私は少し自己嫌悪になりました。。
そして、めめの表情が素晴らしい。落胆する表情、不安でいっぱいの表情、焦る表情、嬉しそうな表情…。相手によっても全部違っていて、めめの演技も冴えわたってました。
しかしながら、最後の想のセリフ「奈々にだけ伝わればいいから」はだめですね。
ほぼプロポーズでしょ、こんなの。罪だよ!罪すぎるぞ、想!
そこはお母さん、怒りますよ。お前、責任とれよ。
第6話冒頭、耳が聞こえなくなりつつある想が、自転車を押してとぼとぼ歩くシーン。こんな背中見せられたら、見てる方はお母さんの気持ちになっちゃって、胸が締め付けられますね。
想のCDを捨てようとした母・律子さんの気持ち、私はわかります。
やり場のない悲しさと悔しさ。お母さんは辛いよね…。
40代、お母さんの方に感情移入してしまいます。
あ~切ない。